数字は「抱える」ものではなく「持てる」ものを(2)

夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、

計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。

(1) からの続きです。まだの方は先にコチラをお読み下さい。

(1)では営業マネージャーであるあなたに課せられた目標=チーム全体の大きな目標を分解して重要な要素をあぶり出しました。

それを各メンバーが追いかける=「結果が出る」目標に落とし込んで行きます。


ステップ3:数字をあげるための「アクション」を決める


デキるメンバーであれば、ステップ2までだけで十分動けます。

「見込客数を増やすんだな!そのためには◯◯してXXだな!」


しかし、全員が全員こうだったら、あなたは苦労しませんよね。また、自分で動けるメンバーだとしても、その動きは必ずしも正しいアクションとは限りません。

無駄なアクションほど罪なことはありません。時間=給料を無駄にして目標数字には関係ないことをしているだけ。全員不幸です。


なので、あなたがリードして、重要な要素の数字をあげるためのアクションを決めます。

見込客数を増やすなら、電話営業するのか、イベントにブース出展するのか、Webサイトのコンテンツを充実させて問い合わせを増やすのか、業界紙に広告を出すのか、セミナーで講演するのか・・・実は選択肢は多く存在します。

そして、ここでも、「とにかく色々やれ」では、結果が出る可能性は低いでしょう。


取るべきアクションの種類は3つ以内に絞りましょう。

そして、絞り込むための考え方も、ステップ2と全く一緒です。

ポテンシャル × 可能性

  • 電話営業:架電先顧客数(ポテンシャル)×資料送付率(可能性)
  • イベント:来場者数(ポテンシャル)×名刺交換率(可能性)


ここの見極めが非常に重要です。

営業としてのあなたの経験とセンス、様々なデータや過去の事例などを駆使し、見極めてください。

(そして、もしそのアクションがハズレだったら、速やかに修正してください。詳しくは別記事で)


パーフェクトな営業マンでも、行動しなければ1円たりとも数字は動きません。

行動に落とし込む。

これが何よりも大事です。


ステップ4:「行動」を「数字」に翻訳する


大きな目標を分解し、重要な要素を特定し、そのために取るべき重要アクションも決めました。

さぁ、後は走るだけ!


ではありません。

これでも結果は担保できません。


電話営業しよう! → 目標達成のためにはどれくらい架電すればOK?

イベント開こう! → 年間何回開催すればOK?延べ何人くらいにリーチできればOK?


そうです。

アクション自体の目標数字を定めます。

「何を」(行動内容)×「どれくらい」(行動量)やれば良いのか明らかになって、初めて、メンバー達は具体的な目標に向かって動き出すことが出来ます。


では、行動の目標数字はどのように設定すれば良いのか。

これも、あなたの営業としての力量がモノを言います。

前述の通り、経験とセンス、様々なデータや過去の事例などを駆使し、設定します。


例)新規顧客開拓のためにテレアポする

R新規顧客数 = a架電数 × b担当者に繋がる率 × cアポ設定率 × d獲得率

Rの目標値を100とした時に、過去の実績だとbは25%、cは40%、dは20%としたら、

必要な架電数a = R100 ÷ b25%÷ c40%÷ d20% = 5,000 となります。


ここで、「架電5,000が目標だ!」とするか、「架電5,000はハードルが高すぎる。bを40%、cを50%にして、架電2,500とする」とするか。

これもあなたの責任のもとで設定します。


これこそが、メンバーが追いかけるべき「目標」となります。


あなたが追いかけるのは「年間売上」

メンバーの目標は「架電数2,500」


あなたの目標達成のために、チームメンバーが目標に向かって動ける状態を作る。

これが営業マネージャーたるあなたが行うべき「目標設定」です。



ステップ5+:数字をあげるための行動を設定する&行動を数字に落とし込むループ


メンバーの目標は、上述の通り、「目標に向かって動ける」ものでなくてはなりません。

例えば、「架電数2,500@6ヶ月」だけではまだ動けない場合。

  • 2,500@6ヶ月 → 420@1ヶ月 → 105@週 → 21@日 → 2.6@時間 → 15分以内@件
  • 5,000件のロングリスト作成
  • 売上・従業員規模、利益率、成長率で優先順位付け

といった形で、より具体的なアクションに落とし込み、出来る限り数値化(もしくはチェックリスト化)します。


極限まで具体的にする。その目的は、何度も言いますが、

メンバーが目標に向かって動き出し走り続けられる状態を作るためです。


あなたは営業マネージャー。

「(あなたではなく)チームメンバーが」

「具体的に行動する」ことしか、目標達成の術はありません。


メンバーが目標に向かって動き出し走り続けられる状態を作る。


営業マネージャーの仕事はこれに尽きます。



営業マネージャーは「結果」に、メンバーは「行動」に責任を持つ


当たり前ですが、営業マネージャーであるあなたのほうがメンバーよりも、

広く高く遠くまで世界が見えているはずです。


その上で、あなたの「結果目標」を達成するための「行動」は、あなたが全責任を持って設計します。

但し、実際に行動するのはメンバーです。


「何を」やるか、はあなたの責任。「やったかどうか」はメンバーの責任。


あなたの指示の下、行動目標数字を達成して、それでも結果が出なかったら。

メンバーのことは褒めましょう。目標達成しているのだから。

あなたは責められるでしょう。目標達成していないのだから。


逆も又然り。行動目標が未達で、結果目標は達成だったら、

メンバーは叱られ、あなたは褒められるべきです。


営業マネージャーとは、いや、世の中のマネージャー/リーダーとは全て、

そういうものです。


自覚と責任を持って、この仕事を楽しんでください。


営業マネジメントの教科書

営業課長・営業所長になって、初めて正式に部下を持ったあなた。 メンバーたちはクセモノ揃い、どうやってマネジメントすれば良いのか悩んでいませんか? 上司は担当時代とは桁違いの目標数字を課してきて、呆然としていませんか? 今までのやり方の延長では結果は出ません。 個人ではなく「チームで結果を出す」ために営業マネージャーがやらなければいけないキホン。 ギュギュッとまとめました。